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投資用不動産の「適正価格」は誰が決めるのか 査定の裏側と相場のズレを読み解く
投資用不動産を売却する前に知っておくべきこと ③ 「適正価格」は誰が決めるのか——査定の裏側と相場のズレを読み解く
投資用不動産を売却しようと思ったとき、まず気になるのは 「いくらで売れるのか」ではないでしょうか。
不動産会社に査定を依頼すると、各社からさまざまな金額が提示されます。同じ物件なのに、会社によって数百万円の差が出ることも珍しくありません。なぜこのようなことが起きるのか。そして「適正価格」とは、そもそも誰がどうやって決めるのか。本コラムでは、査定の仕組みの裏側を解説しながら、売主として知っておくべき価格の見方をお伝えします。
査定額は「意見」であり「確定価格」ではない
まず大前提として、不動産会社が出す査定額は、あくまで「この価格なら売却できる可能性が高い」という意見です。法的な拘束力はなく、実際の売却価格とは異なることがあります。
査定額が高い会社=良い会社、とは限りません。なかには、媒介契約(売却の依頼)を取りたいがために、実際には売れない高値を提示するケースもあります。逆に、堅実な価格を提示する会社の方が、結果的にスムーズに売却できることも少なくありません。
査定額を見るときのポイント
大切なのは、金額の大小よりも「なぜこの価格なのか」という根拠を確認すること。根拠の説明が曖昧な査定額は、どれほど高くても鵜呑みにしないことが賢明です。
2つの査定方法——「取引事例比較法」と「収益還元法」
投資用不動産の査定では、主に2つの方法が使われます。
取引事例比較法
近隣の類似物件が実際にいくらで取引されたかを基準にする方法です。「このエリアのこの築年数・広さのマンションは、直近でいくらで売れている」という実績データをもとに価格を算出します。
- 市場の実態を反映しやすい
- 投資用物件は収益性で価値が変わるため、単純な面積比較では不十分な場合がある
収益還元法
物件が将来生み出す収益(家賃収入)から、物件の価値を逆算する方法です。投資用不動産の査定では、こちらが重視されます。
- 投資用物件の本質的な価値を評価できる
- 利回りの設定に主観が入りやすく、会社によって数字が大きく異なる
なぜ会社によって査定額が違うのか
査定額にバラつきが出る主な理由は3つあります。
査定方法の違い
取引事例比較法を重視するか、収益還元法を重視するかで数字が変わります。投資用物件なのに実需(居住用)の事例で比較している場合は、査定の精度に疑問が残ります。
利回り設定の違い
収益還元法の場合、還元利回りを何%に設定するかは各社の判断です。エリアの相場・物件の築年数・空室リスクなどを加味しますが、明確な正解はありません。ここに各社の「読み」が反映されます。
営業上の意図
率直に言うと、査定額を高く出して媒介契約を取り、その後で値下げを提案するという手法を使う会社も存在します。最初から「なぜこの価格なのか」の説明が曖昧な場合は、注意が必要です。
「相場」と「実売価格」のギャップを理解する
もうひとつ知っておくべきなのは、「相場」と「実際に売れる価格」は別物だということです。
不動産ポータルサイトに掲載されている価格は「売り出し価格」であり、実際の成約価格ではありません。売り出し価格と成約価格の間には、平均5〜10%程度の乖離があると言われています。
乖離のイメージ
3,000万円で売り出しても、実際の成約は2,700〜2,850万円前後になることは珍しくありません。この差を理解しておかないと、「査定額通りに売れなかった」という不満につながりかねません。
売主として持つべき「価格の目」
では、売主としてどう判断すればよいのか。ポイントは3つです。
売主が押さえるべき3つのポイント
- 複数社に査定を依頼し、金額だけでなく「根拠」を比較する
- 収益還元法の場合、還元利回りの設定根拠を必ず確認する
- 売り出し価格と成約価格の差(乖離率)を事前に想定しておく
「高い査定額に飛びつく」のではなく、「なぜその金額なのか」を理解した上で、最終的な売り出し価格をご自身で判断する。その姿勢が、満足のいく売却につながります。
まとめ
不動産の「適正価格」に唯一の正解はありません。あるのは、根拠のある査定と、市場の実態と、売主ご自身の判断軸です。
大切なのは、価格の裏にある仕組みを理解すること。それだけで、不動産会社との会話の質が変わり、売却の選択肢が広がります。
※本コラムは一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の投資判断を推奨するものではありません。個別の状況に応じた判断については、不動産の専門家にご相談ください。
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